鈴木氏いわく、箒作りの要諦は
 ①全体のバランスを整え、軽い箒を作る。
 ②そのためにも穂の選別を丁寧に行う。
ことにあります。

「ほうき草の細かさを指先でも確かめています。浜松のほうき草は本当にやわらかいですね」


ほうきを作る③ 箒づくりの要諦
穂の感触を一本一本確かめます

 

穂の選別は見た目と手の感触、そして意外に思われるかもしれませんが、穂のこすれ合う音を頼りに行います。
「枝分かれが少ない穂を選び、固い草は取り除きます。固い草は音が違います。こすれ合うとバリバリという音がします」

ほうき草はどうしても環境によって出来栄えが変わるので、できる限りほうき草を生かすことも箒職人としては大切なことだそうです。

「たとえば、焼けてしまった(色が変色した)ほうき草は、それだけで掃き心地が悪いというわけではありません。見た目の問題だけです。だから、表に出ない箇所にそれを使います」

ほうき草を使った座敷箒は江戸時代に考案されたもの。循環社会と呼ばれるくらい物を大切にしていた時代です。できる限り『生かす』ことも自然と箒作りに組み込まれているようです。

話の途中ですが、続きは次回に。