3月24日    納得できる箒を目指して②    吾妻箒 

海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です! 

一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?


改善を続けている外まわり用の吾妻箒、この日は課題となっていた短柄ほうきの掃き幅と重量のバランスを再検討しました。
掃き幅を広げるために穂の量を増やすと重くなり、軽量化を目指すと掃き幅が狭くなってしまいます。いたちごっこのような状況ですが、どちらの条件も納得できるバランスを求め、試作は続きます。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
新しい試作品の様子

掃き幅を広げるべく玉と呼ばれる原料の束を1束追加して試作サンプルを依頼しました。
早速、生産現地(インドネシア)から試作品が届き試してみました。
まず、感想として「重い」と感じました。玉を1つ追加しただけですが、使用感がまるで変ってしまいました。片側に1玉追加したことにより箒のバランスが崩れ、手元に掛かる負荷が増したことも要因の一つかもしれません。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
重量を計測してみました。
今回重く感じた試作品は336gです。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
前回の掃き幅が足りないサンプルは、248gです。

およそ90g、増していました。また、数値以上に使用した際、手元に重さを感じました。たった1玉追加しただけなのですが、想定以上に使用感に変化があり、改めて箒の奥の深さ、物づくりの難しさを痛感しております。
こんな時、今までであれば生産現地(タイやインドネシア)に出向き、その場で現地の職人仲間と使用感を確認しながら作り込んでいくのですが、このコロナ禍、そういうわけにもいきません。新しい生活スタイルの下、SNSによる動画送信やテレビ通話などを駆使し、より良い物づくりを進めます。

3歩進んだかと思えば2歩下がるような状況が続きますが、妥協せず次の一手を考え1歩ずつですが、確実に進んで参りたいと思います。