アズマ工業での業務の傍ら、手編み箒を作るようになった渥原さん。
彼が手編み箒に魅了されていくまでの過程、今何を学び、これからどんな箒を作りたいのかを取材しました。

前回に続き、渥原さんが取り組んでいる新しい取り組みについて聞きました。

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―廃棄してしまうものを使う

もうひとつ、やり始めたことがあります。普段なら廃棄してしまう材料でハンドブラシを作ることです。

箒づくりを始めるまで、収穫したほうき草は、実はその半分以上を廃棄していました。

茎に虫食いの穴があるものや、茎の長さが極端に短いものなどは、手編みほうきに使えないので、収穫後の選別段階で廃棄に回していました。

でも、何か利用できないかな?と思って。

それで作ってみたのがハンドブラシです。
茎が生きているものは茎を残しておいて、穂が生きているものは穂を残します。
茎だけのものを芯として、穂だけのものを先につければ小さなブラシができるのです。

ただ、持ち手がほうき草の茎ですと、木柄や竹柄と比べて表面の滑らかさには欠けます。
たまたま不良が出て販売できなかったほうき製品が手元にあったので、そこから糸を外して試しに持ち手に巻いてみました。

糸の他にも、和紙を使ってみたり…。アイデア次第でデザインの幅も広がって、カラフルに仕上がります。日常でも使っていただけるのではないかと思います。

色とりどりの糸で持ち手を飾ったハンドブラシ

これまでほうき草プロジェクトに参加してきて、せっかく穂がいいのに廃棄しなくてはならず、もったいなく感じることが何度もありました。
この方法なら、廃棄せずにほうき草を使えます。長いものなら、穂を束ねて柄を付けて、短柄のようにすることもできます。

近いうちに商品化できたら、嬉しいです。


次回は渥原さんインタビュー連載最終回です。