アズマ工業での業務の傍ら、手編み箒を作るようになった渥原さん。
彼が手編み箒に魅了されていくまでの過程、今何を学び、これからどんな箒を作りたいのかを取材しました。

日本全国に、興味深い手編み箒がたくさんあるそうで…。

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―SNSを通じたつながり、情報収集

箒作りを始めてから、製作の記録を残したり情報を収集したりするためのSNSアカウントを作りました。

ほうき草の栽培から手編み箒作りをしている人を探してフォローしているんですが、僕が知っているだけでも全国に20人くらいはいらっしゃいます。中には、家族でやられているのか農家さんなのかわからないですが、とても大きな規模でほうき草の栽培をされている方もいます。

百貨店に出品している方、自分でお店を持っている方、ハンドメイド作品として販売している方など、手編み箒の活動をされている方が結構たくさんいることを実感します。

手編み箒の中でも、私が製作しているのは、「江戸箒」と呼ばれるものです。地方によってさまざまな伝統があって、編み方の異なる手編み箒が何種類もあります。

例えば岩手の「南部箒」って、毛先が縮れているんですよ。
浜松でほうき草を育てるとまっすぐ育つのですが、岩手では初夏から夏にかけて吹く「やませ」と呼ばれる冷たく湿った北東の風の影響で穂先がうねうねするんですね。
その縮れを生かして編まれている箒が「南部箒」です。「極上の縮れ」なんてコピーがついていたりします。

他にも神奈川の中津箒や長野の松本箒、栃木の鹿沼箒などがあります。


日本各地の手編み箒

アズマ工業の本社には、鹿沼箒が展示されていますよね。
鹿沼箒は本当に編み目が細かくて…どのように作っているかわかりませんが、芸術性も高く、軽さ、掃きやすさも理想的で、目指すところの一つでもあります。

アズマ工業に展示されている鹿沼箒

自分と同じように手編み箒を作っている人にSNS出会えるのは、面白いですね。
アイデアや生産方法が参考になることもありますし、同じように活動している人の存在がモチベーションにもつながります。

自分も時々投稿していますよ。
直接の知り合いには、一切見せてないですけどね(笑)。


次回も引き続き渥原さんへのインタビューをお届けします。