今回も家の外で掃く箒づくりのお話です。

前回のブログにて「抜け毛対策」についてお話をしました。
今回は「遊び毛やキレ毛」対策です。
これらはほうきの工程というよりも、ほうきを作る前の工程が実は重要です。

黒シダの原料は、採取した段階では穂が太いものや細いものが入り乱れていて、それらを丁寧に梳(す)き上げ、一定の束にして保管しています。
本日はその一部をご紹介します。

黒シダの繊維はアレンという木の周辺を巻き付くように生息していて、それらを手作業で採取します。
採取された黒シダ繊維はまとめて精製工場に送られ、そこで梳き作業を行いますが、この工程が「遊び毛やキレ毛」対策として重要なポイントとなります。
梳き作業が甘いと遊び毛が多くなったり、弱い穂が残りキレ毛の原因となります。

ちなみに梳き作業は釘のようなものを刺した木の上を通すことで行います。
採取されたばかりの黒シダの穂には枯葉やホコリなどがまとわりついているので大きく梳き作業を行い、釘の配置を変えて段々細かく梳いていきます。
悲しいことに採取された黒シダ繊維は最終的に30%くらいしか箒に使われません。

「神は細部に宿る」
見た目には分かりにくい作業ですが、この工程を丁寧に行うことが一番の「遊び毛やキレ毛」対策です。
ただ、残念ながらいくら梳き作業をやっても「0(ゼロ)」になることはありません。
当社では、ほうきを仕上げる前、そして仕上げた後にも再度梳き作業を行っています。
試作段階ではこの工程をあえて省いていましたので、通常通りこの工程を行うことで改善できるのではないかと思っています。
抜け毛対策の結果を待って実施したいと思います。