前回、箒(ほうき)に新しい風を吹き込むべく、「ぬくもり工房」様と打ち合わせを行いましたが、話せば話すほど可能性が無限に広がり、かえって収拾がつかなくなりました。我ながら情けないと思いつつも、遠州綿紬の現場を見ることで何かしらのヒントが出ないかと、2/6(水)実際に織っている現場に伺いました。

場所は浜松市西区の「井田織物」様。遠州綿紬は昔からいくつかの工程ごとに分業が行われ、井田様においては「経通し(へとおし)」・「機織り」という工程を請け負っています。

遠州綿紬の現場を見てきました。
井田織物様に納品された原料です。
遠州綿紬の現場を見てきました。
経通し(へとおし)と呼ばれる工程です。
パターンが決められた櫛状の隙間(その隙間1000以上です!)に1本ずつ糸を通していきます。1本でも間違えてしまうと別の柄に仕上がるので根気のいる仕事です。
遠州綿紬の現場を見てきました。
遠州綿紬の現場を見てきました。
機織りの工程です。
経糸(たていと)が流れる間にシャトルと呼ばれる緯糸(よこいと)を搭載した筒状の部品が移動し、織り込みます。

実際に見た現場は使いこまれた機械が整然と並び、一定のリズムを奏でながら織り込まれていました。ぬくもり工房の大高様が言うには「新しい機械だと、『遠州綿紬』独特のやわらかい風合い、質感を出すことが難しい」とのこと。

確かにこれには頷けるものがありました。昔から受け継がれているものを新しい機械で作ろうとすると似たところまではいきますが、「やはり違う」ものしか作れません。伝統あるものは伝統ある工具、機器でしか、その本質に迫ることはできません。

さあ~て、どうするか? (正直な気持ちです)
遠州綿紬やその工程を見るほど、その奥行きの深さに感じ入りました。
どうすれば遠州綿紬を生かしたうえで、新しい箒(ほうき)を作れるか?
思案はしばらく続きそうです。