10月13日  伊藤 真人作 国産手編みほうき短柄の紹介   吾妻箒  

海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です! 

一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?


前回、明治神宮へ発送した伊藤の製作した箒についてご紹介します。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
今年収穫したほうき草を使用し編み上げました。

今年のほうき草は比較的、天候にも恵まれ、思い通りに栽培を進めることができたと感じております。昨年は収穫時期に長雨が重なり、収穫時期を逃してしまいました。結果、穂が赤く変色してしまい、曲がりのクセが強い草が多くなってしまいましたが、今年は、予定通りに進み、穂の色・柔らかさともに納得の出来栄えです。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
上:昨年のほうき草 少し赤みがかった色をしております。
下:今年のほうき草 変色なく、素材その物の色を維持しております。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト

写真では感触が伝わりきらないかも知れませんが、手を離すと穂先は真っ直ぐにピンと伸びます。この適度な張りと柔らかさこそが、ほうき草(ホウキモロコシ)の最大の魅力です。
納得できる品質に高められてきている一方で、来年への課題も見えてきております。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
こちらの写真、右側の茎の方が大ぶり(太い)なのが分かりますでしょうか。
実際に太さを計測してみると・・・


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
右の草:直径8.06㎜


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
左の草:直径7.04㎜

比較的、差が分かりやすい2本を用意しましたが、直径でおよそ1㎜も違うと見た目も編み込み時の扱いやすさもだいぶ変わってきます。手編み箒の世界では「大は小を兼ねる」とは言い難く、小ぶり(細い)なほうき草であれば、使用する量を増やすことで調整可能ですが、大ぶり(太い)だからと言って量を減らすと穂先の量も減ってしまい簡単に調整することができません。欲を言えば、茎は細めで穂先のボリュームが豊富なほうき草が栽培できるのが理想ですが、今年は、大ぶりな茎のほうき草が多く育っている傾向があり、来年に向けて扱いやすいほうき草の栽培が課題であります。
とは言え、与えられた条件のもと、安定した品質の箒を編み上げることが職人としての腕の見せ所と認識しておりますので、大ぶりな草と小ぶりな草をバランス良く使用し編み上げることを意識して作業しました。

明治神宮に奉納させていただいた伊藤の箒は9月より絶賛発売中です。ぜひこの機会にご覧いただけましたら幸いです。
※伊藤 真人作 国産手編みほうき 短柄