アズマ工業での業務の傍ら、手編み箒を作るようになった渥原さん。
彼が手編み箒に魅了されていくまでの過程、今何を学び、これからどんな箒を作りたいのかを取材しました。

ほうき草プロジェクトや外掃き用箒の試作から手編み箒作りへの興味を深めていった渥原さんは、いよいよ手編み箒の製作を始めます。

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―独学で、箒を編んでいく

気づけば何度も、何本も箒を編んでいました。一時期は一日一本のペースで、仕事終わりにほうき草を持ち帰って水につけ、前日に水につけていたものを取り出して編む、という日々。

しかし職人さんによって作られた手編み箒の完成品を参考に編んでいると、どうしても編み方がわからない箇所が出てきます。
そこで会社にある箒を一本だけ分解させていただき、写真を撮りながら、どうやって編むのか学びました。

構造を学ぶため分解した箒

仕組みを理解するとわからなかった箇所が編めるようになるのと同時に、商品を作られている職人さんの技術力の高さにも気づきます。編み目のそろい方、細かい箇所のシルエットの美しさ、使い勝手の良さ…。

また、過去に弊社で作成された職人の方へのインタビュー動画を見てみました。その中で「まるで自分の手が伸びて床をなでているような感覚になるのが良い箒」だというお話を聞き、大変納得しましたし、自分もそういう箒を目指したいと思いました。

作り方や手編み箒について学ぶにあたって、この吾妻箒サイトのブログは、すべて2周は読みました。
職人を目指していた先輩の手帳の写真が掲載されているページをなんとか拡大して解読することで、編み方がわからなかった箇所が理解できたこともありました!

また箒の作り方だけでなく、手編み箒の歴史や種類について調べているうちに全国の手編み箒についても詳しくなりました。

日々の学びを踏まえて新しい箒を作り続けていますが、少しずつ良くはなっても、満足することはありません。

知れば知るほど理想のほうき像もできていきます。作り方を知って編みあがっても、出来上がった箒を見ているとまた次の課題が見つかるのです。

毎日のように編んだ箒

毎日編んでも満足しないというほど、手編み箒への情熱や探求心を持つようになった渥原さん。
次回は来年になるかと思いますが、渥原さんの箒づくりのお話を、引き続き連載してまいります。