アズマ工業での業務の傍ら、手編み箒を作るようになった渥原さん。
彼が手編み箒に魅了されていくまでの過程、今何を学び、これからどんな箒を作りたいのかを取材しました。

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―ほうきに携わる仕事

アズマ工業に入社したのはおよそ8年前、29歳の頃でした。
入社の翌年から、アズマ工業の「ほうき草プロジェクト」に参加しました。

先輩に声をかけてもらい、草抜きなど畑の作業に連れて行ってもらうようになったのですが…。
暑いし、雑草を抜いてもすぐに雑草だらけになってしまいます。
もちろんその頃の私は箒を編むなんて考えたこともなく、今思うともったいなかったのですが…、当初は、目標ややりがいを持つことはできませんでした。

そんな私がプロジェクトのメインメンバーになったのは昨年のことです。
収穫したほうき草の選別なども担当することとなり、一本の手編み箒が出来上がるまで、想像以上に手間や時間がかかっていることを知りました。

ほうき草プロジェクトの様子

一方で、働き始めて数年がたち、「家の外で掃く箒」の開発を担当することになりました。前任の担当者がある程度進めていたものの、まだまだ製品化に向け改良が必要な状態でした。

サンプルを作成しては修正し、山下さん(アズマ工業社長)とも何度も相談しながら、良い商品を作るために奔走していました。

商品の作成過程はこちら

開発に携わった外掃き用の箒

ある日、自分のそばにあるほうき草と、外掃き用の箒のサンプルを眺めていると…、「ちょっとやってみようかな…」という思いが湧いてきました。

開発中の外掃き用箒を、ほうき草で作ってみようと思い立ったのです。

社内にあったほうき草やタコ糸を使い、さっそく試してみると…、これが意外とよかった!

そして何より、箒を編むのは、自分にとってはとても楽しかったのです!

初めてほうき草で作った箒

さて、出来上がったほうきを作業部屋の壁にかけてまた眺めていると、隣には職人さんに編んでいただいた手編みほうきが。そこには美しい編み込みが入っていました。

出来上がったほうきの見た目に物足りなさを感じていたこともあり、編み込みを入れられないか、見よう見まねで試作してみることにしました。

左:職人さんが編んだ箒 右:渥原さんが作った箒

これが手編み箒作りの始まりです。