世界に蔓延したコロナにより、しばらく海外出張に行けていません。
当社のほうきの生産は、中国、インドネシア、タイで行われており、現地とはZOOMでやり取りを続けています。
今、家の外で掃く箒づくりを進めていますが、原料調達の関係からインドネシアの工場で試作を繰り返しています。
インドネシアの工場には思い出深いエピソードがあります。
ほうきには持ち手である柄(え)があります。
以前、インドネシアの工場にて、柄の塗装剥がれが発生したことがありました。
原因は柄に使われている木の水分量にあることは分かったのですが、工程を見ても適切に運用され、工程ごとに行われる柄の水分量検査もすべて規定内に収められていました。
何度も試行錯誤を重ね、やっとのことで原因を突き止めました。
その時には我々以上に現地のスタッフの手は砂やススで真っ黒です。
「ありがとう」と手を差し伸べたときに、スタッフ曰く「汚れているから」と言って握手しようとしません。
「そんなことはない。その手が我々の商品の品質を守ってくれています。まったく汚れていません」
そう言ってしっかりと握手したのを覚えています。
はにかんだ笑顔も忘れられません。
いくら機械化されようが、そこに関わる人がいて初めて商品が作られます。
人こそ大事であり、人とのつながりが品質を育みます。
そんなことを痛切に感じた場面でした。
コロナが落ち着きつつあります。
一刻も早く現地スタッフと語らいたいものです。