今年の半田畑のほうき草は、茎の生長が芳しくなく、手編み箒にするにはほぼ全滅の状態でした。そこで脱穀できるくらいの茎を残し、それ以外の茎は思い切って切り落とすことにしました。そして穂先だけを束ねた上で、脱穀、乾燥、煮沸、乾燥を行い、ほうき草の原料を仕上げました。

新たな挑戦02 これが出来上がった半田畑の原料です。

見た通り、手編みするだけの茎の長さがありません。また、茎の一部は虫に喰われていました。ただ、穂は元気です。これらを活用するため、穂の長さと色を見ながら、原料を整えます。

新たな挑戦02 長さ(28~32cmほど)と色(青々しい草と黄色掛かった草)で選別しました。

準備した原料の穂先を揃えながら15本ほどでまとめ、穂先の根元を針金で結束します。何となく箒の束になってきました。これらを以下の手順で束ねます。

新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 カット後の様子

次にこれらの束を組み立てます。組み立てには竹串を使います。

新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 柄とほうき草を固定するために樹脂カバーを差し込み、タッカーで止めます。
その後、コシを出すためにミシン掛けを行い、余分な穂先をカットし、整えて完成です。
新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 新たな挑戦02 完成です。

本来は捨てるはずだったほうき草から上質の箒(ほうき)が出来上がりました。 手編み箒よりも軽く、穂が一定の厚みで均一に整っているので、掃き心地はむしろ良くなったように思えます。

実はこの製法、当社が1950年代に開発した製法をベースにしています(現在は海外に生産が移行し、日本ではこの製法での生産はほとんど行われていません)。ただ、日本でほうき草を復活させ、それを根付かせるためには不可欠な製法だと思われます。手編みだけでは破棄する量が多く、あまりにも非経済的です。

(ちなみに、この製法で作られた箒(ほうき)は「吾妻箒(あづまほうき)」と名付けられ、全国に販売されていました。そう、このホームページ名と同じです。)

半田畑のほうき草の活用が成功したことを契機に、来年はこの吾妻箒の製法を活用し、箒の可能性をさらに探ってみたいと思っています。

ほうき草の栽培を復活したことから始まった数々の物語。50年以上経過した今だからこそ、なしえることもあるのではないかと思っています。今から来年が来るのが楽しみです。

今年一年本当にありがとうございました。そして来年も宜しくお願い致します。