「編み込む際、穂の向きにも気を付けています。穂はよく見ると、必ずどちらかに曲がっています。それを見極め、箒の内側に向くように編み込みます。外側を向いてしまうとはねてしまいます」

箒はいくつかのほうき草の束(編み玉や中玉のこと、専門用語で「玉」と呼ばれています)を連ねて編み上げられていますが、
「それぞれのほうき草の束の位置によって、芯の入れ方が異なります。箒の両側のほうき草の束には穂を全体にぐるりと被せるので芯は少なめ、中央部分のほうき草の束には芯を多めにするとバランスが良くなります」


ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
穂先がないものが芯です。ほうき草の茎を芯に流用します。
 


ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
芯の入れ具合で掃きやすさが変わります。全体のバランスにも大きく影響します。
これらの玉をある規則性に従い、丁寧に編み上げることで、バランスの良い箒が作られます。


ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
それぞれの玉を合わせ、編み上げる。
 


ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
穂をすき、穂を整える。
 


ほうきを作る⑤ 箒づくりの要諦 その3
穂先をカットする。
 



完成です。
「自分が作った箒を後から見ると、気になる点も出てきます。まだまだですね」
より良い箒作りを目指している鈴木氏らしい発言のあと、今後の抱負を聞いてみました。
「状況が許されるなら、作り方を伝えていきたいですね」

日本の伝統をつなげることが我々の共通の目標。一緒に歩んでいきたいと心から思いました。