鈴木 徹 氏

この道25年…

きっかけは一つの偶然からはじまった。
学生時代に売り子のバイトで訪れた「ほうき屋」、そこで出会った「手編み箒」
一目見た瞬間、一瞬で引き込まれる。

均一に整った編み目模様、丸みを帯びたフォルムは神々しいとさえ思える。

「作ってみたい」

体の芯が熱くなるような情熱が一気に溢れ、本能のままに門をたたいた。

1830年創業 箒の老舗「白木屋伝兵衛」だ。
師匠は祖父の代から続く根っからのほうき職人。

「真面目(まじめ)に仕事をしていれば、間違いないから」その一言から師匠の人間性がうかがえる。

「真面目(まじめ)」

生産性・効率化が求められている現代、この言葉に否定的なイメージを持つ方もいるかもしれない。
それでも、鈴木氏を語る上で外せない言葉だ。

初めて師匠の箒を使った時に感じた、「手の延長で床をなでるような感覚」
今、自分の箒はどこまであの感覚に近付けただろうか?
1本編み上げるたびに自問自答を繰り返す。鈴木氏はどこまでも「真面目(まじめ)な男」だ。

今、できあがった箒を手に持ち、あらためて思う。

「人が人を育てる」

技術だけでなく、人間性も師匠からしっかりと受け継がれているようだ。

(2020年取材)

経歴

1990年 手編み箒と出会う

1993年 白木屋伝兵衛に弟子入り

2009年 独立

2015年 アズマ工業と取引開始