純国産ほうき、復活。
この復活に欠かせない人物が愛知県在住の手編み箒職人の鈴木徹氏です。

私たちが浜松で栽培し収穫したほうき草は、鈴木氏の手によって濱松出世手編みほうきに形作られます。
ここでは鈴木氏の伝統の技にスポットを当てたいと思います。

鈴木氏は23 歳で箒作りを始め、20 年以上箒を作り続けています。

大江戸物産展でたまたま出会った手編み箒職人の伝統の技に魅了され、箒作りの道に入られました。
法学部出身で箒に関しては全くの門外漢だった鈴木氏が箒作りの道に入った理由は「物を作ることが好きだったから」。
鈴木氏の素朴な人柄がわかるコメントです。

ほうき草1 本1 本を見て、作っている箒との相性を確かめながら丁寧に編み込む鈴木氏の「伝統の技」。

鈴木氏の手編み箒作り「伝統の技」を画像と共にご紹介します。

手編み箒作り「伝統の技」

最初に穂の感触を一本一本確かめ、穂の向きを確認しながら小さな束を作ります。

穂先がないものが芯です。ほうき草の茎を芯に流用します。
箒はいくつかのほうき草の束(編み玉や中玉のこと、専門用語で「玉」と呼ばれています)を連ねて編み上げます。

芯の入れ具合で掃きやすさが変わります。
全体のバランスにも大きく影響します。

小さな束は「耳」と呼ばれる部分と「玉」と呼ばれる部分があります。
大き目に編んであるのが「耳」で小さめに編んであるのが「玉」になります。

それぞれの束「耳」と「玉」を合わせ、編み上げていきます。

ある程度の形に編み込んで、専用の器具を使って綿の糸で箒を縛ります。
かなりの力がいる作業です。

箒の中心部を見極めて、バランスを整えながら竹柄を差し込みます。

綿の糸で縛り上げて竹柄を固定します。
竹柄は京都から取り寄せた国産の竹を使用しています。

竹柄の根元部分を整えた後、たたき締めます。
たたき締める加減が非常に重要です。

穂の折れ防止のために穂を一本一本整えながら、綿の糸で小編みします。

電動ドリル(伝統の技の中で唯一使用される文明の利器)を使って、柄と箒を固定するための下穴を空けます。

空いた下穴には鉄釘を打ち込むのではなく、竹を削って棒状にしたものを目釘として差し込みます。

箒の穂の最終調整です。
一本一本穂をすいて、穂を整えます。

最後に穂先をはさみで切り揃えます。

完成です。

これが鈴木氏が編み上げた「濱松出世手編みほうき」です。

現在、手編み箒の職人は全国でも数十人しかおらず、手編み箒の世界も高齢化が進み、年々職人が減少しています。
そんな中、鈴木氏曰く「状況が許されるなら、作り方を伝えていきたいですね」とのこと。

江戸時代から引き継がれてきた手編みほうきの「伝統の技」。
手編みほうきの文化を繋いでいくためにも、今後も私たちは鈴木氏と一緒に歩んでいきたいと思っています。