11月15日   様々な種類のほうき   その①   豆知識   

海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です! 

一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?


先日、お客様がご来社された際、「ほうき」について説明する機会がありました。説明するにあたり、改めて色々な種類の箒についての特徴をまとめましたので、今回から何回かに渡り、ほうきの種類ごとの特徴や生産の過程などを紹介させていただきたいと思います。

初回は、室内での使用に適した「座敷ほうき」についてご紹介します。

座敷ほうきとして使用される箒の素材は、大きく分けて「ほうき草(ホウキモロコシ)」と「棕櫚(シュロ)」の2種類に分けられ、今回は当社でも数多くのラインナップを取り揃えている「ほうき草」について掘り下げてみたいと思います。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
原料であるホウキモロコシの様子

原料であるほうき草は、当社でも毎年栽培しているホウキモロコシというイネ科の植物となります。夏から秋にかけて収穫をむかえ、背丈は1.5~2.0mほどまで生長します。
細くしなやかな穂先は、畳やフローリングの目の間まで入り込み、ゴミを掃き出します。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
畳やフローリングの目に沿って優しく使用します

ほうき草を使用した箒は大きく分けて2種類に分類され、1つは伝統の技により編み込まれた「手編みほうき」、もう1つはほうき草の良い部分だけを生かした「カバーほうき」です。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
手編みほうき


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
カバーほうき

どちらの箒も甲乙をつけることは難しく、それぞれ特徴があります。
例えば、手編みほうきであれば、上質で厳選した原料を使用し、伝統の技を生かした見た目の美しさも魅力的です。カバーほうきの特徴としては、見た目はシンプルですが機能に特化した作りとなっており、扱いやすい軽さとリーズナブルな価格が売りとなります。
実はこのカバーほうきは、当社アズマ工業が初めて作り、普及させました。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
1954年 座敷ほうきの製法で、実用新案を取得

ほうき草は畑で栽培される農作物ですが、素材そのものが大変キレイなため、室内での使用に適しています。ほうき草は水濡れに弱く、水分を含んだまま放置すると、カビの発生や穂の変色の原因となります。室内での使用がメインになるため水に濡れることは少ないかと思いますが、保管の際は風通しの良い場所で吊るして保管するなど注意が必要です。

今回は、座敷ほうきと呼ばれる箒の中の1つである、「ほうき草」の特徴について紹介しました。次回はもう1つの座敷ほうきである「棕櫚(シュロ)ほうき」を掘り下げていきます。