1月17日    今年のほうき草栽培にむけて②   吾妻箒   

海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です! 

一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?


前回のブログにて、「密植栽培」のメリットとデメリットを紹介させていただきました。
今回はほうき草を密植栽培で育てるにあたり、デメリットの解決方法を考えていきます。

デメリット①農作物が思うように生長しない可能性がある

ほうき草の正式名称は「ホウキモロコシ」と呼ばれ、トウモロコシの変種だとされております。改めてトウモロコシの密植栽培実績を調べてみると、トウモロコシは風で花粉を運ぶ「風媒花(ふうばいか)」なので、密植栽培に適しているようです(※株間が広いと雄蕊から雌蕊へ花粉が届かず、実の数が少なくなるようです)。
しかし、密集しすぎると横に伸びる実の生長の妨げになるため、20~30センチの株間は必要とのこと。その点、実を付けず、真上に伸びた穂を収穫するホウキモロコシは互いの生長を気にすることなく株間を決められそうです。

また、今年も浜北畑と半田畑の二カ所を利用させていただき栽培できる見込みとなっております。どちらか一方の畑で密植栽培にチャレンジし、一方は従来通りの栽培方法で栽培することにより、最低限の収穫量は確保できるよう進めることができます。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
収穫を間近に控えた半田畑の様子(2021年7月中旬)
栽培当初は苦戦した半田畑ですが、近年は安定して収穫できております。


デメリット②病気や虫の発生リスク

密植栽培によるもう1点のリスクは、株が密植し、風通しが悪くなることによる虫の発生や病気への懸念です。これまでの栽培でも、除草作業や農薬散布により防除してきましたが、ほうき草を栽培する上で最も気を付けなければいけない点だと考えます。
農家の倉田様からも「虫は密集した雑草の陰を好みます。根元の雑草からほうき草に移り、養分を吸ったり、幼虫がほうき草を食い荒らしたりしますので、小まめな除草が最も大切です」とアドバイスいただいております。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
ほうき草の株間に生えた雑草の様子
少し気を抜くと一気に生長し、手に負えなくなります。

「雑草が小さい内からしっかりと手を掛け、綺麗な畑を保つ」
文章で書くと当たり前で簡単なように見えますが、除草作業の大変さが身に染みているからこそ、その言葉の重さを感じます。しかし、逆に言うと、除草作業さえしっかりおこない風通しを良くさえすれば、虫の発生や病気を抑制でき、デメリットを打ち消すことが可能です。どこまで対応できるか分かりませんが、自分で勝手に限界を設けず、できるところまでチャレンジしてみたいと思います。もし除草作業の手が足りなくなった時は、会社の仲間にも助けてもらえますし、要所で農薬の力も借りながら虫の発生も抑えられると考えます。

密植栽培におけるデメリットも解決できそうな気がします。次回からは具体的な作付面積や栽培計画を練っていきたいと思います。