こんにちは。製造部・箒職人の渥原です。
以前より気になっている原料があります。それが棕櫚(しゅろ)です。
検査の工程で、柄が割れており不良となった箒を眺めながら、穂はきれいなのに廃棄するのはもったいないと思うようになりました。
今回、棕櫚を使ったハンドブラシが完成したので、その工程についてご紹介します。

棕櫚原料を使用してハンドブラシを作るためにはいくつかの課題がありました。
その中の一つが、穂に付いた樹脂片が使用中に脱落することです。
この問題を解決する為に、10gの束を作り、ブラシで徹底的に磨き上げることにしました。

元の状態がこちらです。10gの束を作っただけで、これだけの遊び毛と樹脂片が落ちています。

こちらを1束ごとにブラシで磨き上げていきます。
右側の画像が、一回目のブラッシング後です。遊び毛や短い繊維、棕櫚の樹脂片が除去できました。
しかし、ブラッシング作業は一度では終わりません。

二回目、三回目のブラッシング後です。
徐々に、遊び毛や樹脂片の量は減ってきておりますが、まだ出てきます。

徹底的に遊び毛と樹脂片を除去するため、穂を扇状に広げ、何度かブラッシング作業を繰り返します。
この工程で手を抜いてしまうと、ハンドブラシにした時に製品の質が悪くなってしまいます。
その為、遊び毛がでなくなるまで、徹底的に磨き作業を行います。
作業後、磨いていない穂と並べ比べてみました(左:磨いた穂、右:磨く前の穂)。遊び毛が除去され、色も明るくなっています。

磨き終わった穂を、ハンドブラシと同じ要領で束ねていきます。
棕櫚の繊維は細く、しっかりと締め上げないと抜けてしまうため、この工程も重要です。
持ち手の部分には、ペーパークラフトバンドを編み込むことで高級感を出すことにしました。
ペーパークラフトバンドは紙を細く裂いて作られた手芸素材で、かごや小物などを編んで作る際に使われます。手芸用品店や、100円ショップでも手に入ります。
以前より、柄の部分の編み込みをほうき草を使ってチャレンジしていました。ですが編みこむ際に折れてしまうなど、なかなか思い通りにいきませんでした。ペーパークラフトバンドを見つけた時、「これは使える!」とひらめいたのです。

完成したハンドブラシがこちらです。
扇形のものと、傾けて使用できるよう、穂先が斜めのものを作成しました。
近日、弊社直営店で発売される予定です。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
