ほうき草に似た草で「かや草」または「きぬ草」と呼ばれる草があります。
主にはベトナム、インドネシア、タイなどに生息していて、実はほうき草と同じように箒(ほうき)に使われています。
かや草ほうきは、ほうき草で作った箒に比べ、非常に柔らかいのが特長の一つで、タイやインドネシアでは広く使われています。

しかし、日本ではほとんど見かけることはありません。
実は大きな欠点があり、使い始め(初めて使用する直後)に草の欠片がぽろぽろと落ち(しばらく掃くとぽろぽろ落ちなくなりますが、それでもぽつぽつとは落ちます)、掃除をしているのか散らかしているのか分からない状況となってしまい、気密性が高い日本の住宅では敬遠されているようです。

また、掃き方もほうき草とは異なり、穂を寝かせるようにして穂全体で柔らかく(なぞるように)掃き出します。
この掃き方が十分に伝わっていない点も普及していない原因かもしれません。

日本では不向きと判断し、我々も作っていなかったのですが、先日付き合いのある職人さんよりぜひ作ってほしいという要望がありました。
職人さん曰く、「クロスを張り替える場合、石膏等細かな粉状のものが多いので、手編み箒では筋になり掃ききれない。かや草が圧倒的に良い」
「最終的に掃除機で吸い取るのでポロポロ落ちても全く問題ない」
「粉が細かく掃除機のフィルターを通してしまい故障となるので、かや草ほうきで事前に掃く作業が必要」

ここまで熱く語られてしまうとモノづくりの血が騒ぎます。
採算度外視で今回発売することになりました。
吾妻箒でも近々発売する予定です。
ほうき草との違いを味わっていただければと思います。

追伸)「竹柄だと、すぐに割れる(どうも踏んづけるようです)のでどうにかならないか」という声にもお応えし、スチール製の柄を採用しました。