こんにちは、製造部 箒職人の渥原です。
8月12日のブログで、収穫したほうき草の様子についてお伝えさせていただきましたが、昨年収穫したほうき草の4割程度は、短柄には使えない穂が短いハンドブラシ用のほうき草でした。


短柄には使えませんが、使い方を工夫すれば、きっと良い箒が作れる!と思い、ハンドブラシにしたり、穂と茎を分けて箒を作ってみたりと、色々製作を続けてきました。

ある日、弊社で販売している「チリトーレ」にセットできる手編みほうきを作れないかと考えるようになりました。
きっかけは…覚えていません(笑)。
「チリトーレ」は弊社のロングセラー商品で、ちりとりとほうきがセットになっている商品です。ちりとりの柄が長く、ほうきをセットして、自立して保管することができます。
その「チリトーレ」に合うサイズ、デザインのほうきを編んでみたくなりました。
一般的な短柄の手編み箒は、片手で持ち、少し屈んだ状態で掃くことを想定しているため掃きやすいように穂先が斜めにカットされております。一方、チリトーレの穂先は、持ち手に対し垂直にカットされております。
短柄タイプの手編み箒も、チリトーレのほうきと同じような形があってもいいかもしれない!
しかし、チリトーレのようにヘッドを左右対称に編む方法が思い浮かびません。
これまで私が編んできた短柄の手編み箒は、左右は非対称の形状です。
あっ!長柄の編み方を応用したらできるかもしれない!
思い立ったら即行動です(笑)!
その日の内に、ほうき草を持ち帰り、製作に取り掛かりました。
できたのがこちらの箒です。

思ったよりうまくいきました!
しかし、柄の長さが短すぎて、掃いているうちに疲れてしまいそうです。
コンパクトに作った為、掃き幅も狭くなってしまいました。
また、耳と玉の間に空間があり、中の竹串が見えてしまっています。
せっかく形になりそうなのに、悔しい!!
次の日も、ほうき草を持ち帰り、製作に取り掛かりました。
作り上げた箒がこちらです。

うん!うまくいった!
耳に使用する穂の数を増やし、中玉に太めのほうき草を使用することで、掃き幅が広がり、形のバランスも取れ、納得できる箒に仕上がりました。
ただ、形ができても、掃き心地や重さのバランスが一番大切です。
乾燥後に仕上げながら、そのあたりの確認をする予定です。
今回のように、新しい箒を作るときには、一つのエピソードが生まれます。そんなエピソードをお伝えしながら、皆様の暮らしに寄り添える箒作りに取り組めたらと思います。