12月8日 様々な種類のほうき その⑦ 豆知識
海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です!
一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?
連載で発信している「様々な種類のほうき紹介」。今回は、当社で扱っている箒の中で唯一、穂の原料が天然素材でない「化繊ほうき」を紹介いたします。
化繊(かせん)とは、化学繊維の略で、主にポリプロピレン樹脂などを繊維状に加工し、穂の原料として使用します。
太くコシの強い掃き心地が特徴のAC6-193化繊ホーキ極太長柄
化繊ほうきは、屋内・屋外の双方で使用されますが、屋内用は穂の繊維が細く、屋外用は太い繊維を使用して製造するのが一般的です。一番良く目にするのは、落ち葉などの屋外で使用する繊維が太い箒ではないでしょうか。
雪国でない地域では珍しいかもしれませんが、冬場の雪かきにも使用され、ご好評いただいております(伊藤の住む地域では滅多に雪が積もらないため、意外と感じておりますが・・・)。
雪かきに使用している様子
穂先が太く粗いため、車のボディなど傷つきやすい対象物への使用はお避け下さい。
化繊は天然素材と違い、人間の手で一から箒の特徴をコントロールできる点が利点です。
例えば、穂の色にしても原料を作る時点で好きな色に着色することで、様々な色の箒を作ることも可能です。
シンプルで生活感の出ないグレーの穂を使用した箒
また、穂の太さや形状を変えることで使用シーンに合った箒を自由に作り出すこともできます。しっかりとしたコシのある掃き心地で、落ち葉などの大きなゴミを掃除することが得意と思われがちな化繊ほうきですが、細くしなやかな繊維を作り、屋内用の箒を製造したりしております。
中でも伊藤が個人的に好きな化繊ほうきは、穂先に「先割れ加工」という加工を施した箒となります。
先割れ加工が施された箒の様子
穂先を粉砕し、細かくすることで細かな埃も逃しません。
先割れ加工の箒で工場倉庫のフロアを掃除してみました。
写真のように一見するとキレイに見えるフロアですが…
少し掃除しただけで、目に見えなかった細かな埃まで集まりました。
この集塵力が先割れ加工の特徴です。
ここまでの紹介で、化繊ほうきの万能性に驚かれる方もいらっしゃるかも知れません。
万能に見える化繊ほうきですが、化学繊維ゆえに太陽光・紫外線、気温の変化などに弱い点が欠点として挙げられます。長いあいだ直射日光を浴びたり、朝昼晩の温度変化が激しいところで保管すると、繊維が損傷し、穂がボロボロと千切れてしまったりします。保管の際には直射日光が当たらないところで保管してください。
今回は、様々な仕様を自由に設計できる「化繊ほうき」を紹介させていただきました。
天然素材には天然素材にしか出せない味わいもあり、甲乙つけがたいのですが、機会がありましたら是非、化繊ほうきもお試しいただけましたら幸いです。