12月14日    様々な種類のほうき   その⑧   豆知識    

海外に生産を移行して50年。
日本の箒(ほうき)づくりは斜陽の一途を辿り、今では十指に満たない職人しかいないと言われています。
日本伝統の箒づくりを途絶えさせないために、師匠の教えを守りながら今日も奮闘中です! 

一流の箒職人を目指す伊藤さん、今日の様子は?


連載で発信している「様々な種類のほうき紹介」。今回は、「混穂(コンポ)ほうき」を紹介いたします。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
コンクリートから芝生・側溝まで使える外ほうき 混穂173コンポほうき長柄
こちら、一見すると普通の葉脈ほうきに見えますが…


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
穂の部分を良く観察すると、実は2種類の素材がブレンドされております。

「混穂ほうき」とは読んで字のままなのですが、2種類以上の素材を混ぜた箒です。上の写真の箒は①③の部分はコシの強い葉脈を使用し、柔らかい素材の②黒シダを挟み込むように作っています。
コシが強く大きなゴミや落ち葉の掃除が得意な葉脈と、細く柔らかな繊維で細かな埃を逃さない黒シダをブレンドすることにより、より効率良くお掃除ができるようにしました。


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
葉脈ほうきの他にも、


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
赤シダと黒シダの混穂ほうきや、


箒職人を目指して ほうき草プロジェクト
太い化繊と細い化繊をブレンドした混穂ほうきなど、種類も豊富です。

いずれの混穂ほうきも、長所と短所を補いあう組み合わせで配合しているのが基本です。
コシの強い素材で大きなゴミを力強く掃き、細く柔らかな素材で細かな埃も逃さない。そのようなイメージで作っていて、穂の混ぜ方や配合率など、何度も試作を繰り返し今の形に落ち着いております。
良い点ばかりを取り上げておりますが、デメリットも少なからず存在します。別の素材を混ぜておりますので、使用環境によっては穂先の摩耗に差が生じる場合があります。
※どのような素材でも年々、穂先が擦り減ってきますが、素材の違いにより擦り減り方に差が出る場合があります。例えば、外側の素材のみ早く擦り減ってしまい、中の素材が剝き出しになってしまうなど。

しかし、この点は数年に一度程度、先に擦り減った素材に合わせて穂先をハサミで切り揃えることで解決できます。切り揃える手間を差し引いても、非常に優秀な箒だと思います。
今回は、異素材を混ぜることで互いの長所を生かす、混穂ほうきを紹介させていただきました。機会がございましたら、ぜひお試しください。